2009-01-01から1年間の記事一覧

小休止(3) 岐阜の四塔を巡る

岐阜の四塔を巡る 今回は、岐阜県にある四つの三重塔を巡ることにした。三塔は大垣市の近くに、残り一塔は関市にある。 大人の休日倶楽部の会員パスの利用範囲は、中央線では塩尻まで、東海道線では熱海までである。 まず会員パスを利用する意味があるのか。…

22 日石寺三重塔(富山県中新川郡上市町)

日石寺三重塔(富山県中新川郡上市町) 2009年6月20日に全国公開された映画「劔岳 点の記」の観客動員が、中高年層の絶大な支持もあって、7月29日の時点で観客動員数が200万人を突破したという。 明治時代末期、陸軍参謀本部陸地測量部(現在の…

21 明通寺三重塔(福井県小浜市)

明通寺三重塔(福井県小浜市) 福井県南部、若狭湾に面した小浜市は、平成19年10月からNHKの朝の連続ドラマ「ちりとてちん」の舞台となった。落語家をめざす女性をヒロインとして、若狭塗り箸職人の父、大らかで家族思いの母、母親の若狭弁がドラマの…

20 那谷寺三重塔(石川県小松市)

那谷寺三重塔(石川県小松市) 那谷寺は、JR北陸本線動橋駅から東に約4.7kmのところにあり、徒歩ではおよそ1時間かかる。加賀温泉駅から3〜40分おきに市内観光地を巡るキャン・バスがでているので、これに乗るのが便利である。 那谷寺は、寺伝に…

19 妙成寺五重塔(石川県羽咋市)

妙成寺五重塔(石川県羽咋市) 能登半島広域観光協会では、2007年5月30日、「妙成寺(みょうじょうじ)五重塔を国宝にする会」を結成した。羽咋市民らで組織する「妙成寺文化財をまもる会」と連携し、各自治体や経済・観光団体をも巻き込み、能登全体…

小休止(2) 石川と福井、富山の四塔を巡る

石川と福井、富山の四塔を巡るJR東日本の「大人の休日倶楽部」会員パス 12,000円で新幹線、特急乗り放題を利用し、今回は、石川県羽咋市と小松市、福井県小浜市、富山県上市町の四塔を訪ねた。 なお、会員パスの利用エリアは「福井」までであり、福…

18 旧寛永寺五重塔(東京都台東区)

旧寛永寺五重塔(東京都台東区) 元和8年(1622年)、2代将軍徳川秀忠は、喜多院(現埼玉県川越市)の住持天海に上野忍ヶ岡の地を寺地として与えた。天海は、最澄が平安京の鬼門である北東の比叡山に延暦寺を創建したことにならい、江戸城北東の方角に一寺…

17 小山寺三重塔(茨城県桜川市)

小山寺三重塔(茨城県桜川市) 九州日向国桜の馬場の桜子は、家の貧困を救うために自ら人買に身を売り渡す。あまりの悲しみに心乱れる母親は子を探して旅に出、3年後、桜の名所桜川で再会して連れ立って故郷へ向う。子を想う母の情を描いた人気曲、能「桜川…

16 西明寺三重塔(栃木県芳賀郡益子町)

西明寺三重塔(栃木県芳賀郡益子町) 真岡鐡道真岡線益子駅から3.5キロ。益子焼窯元共販センターの500mほど手前で右折し、水田の広がる農村風景を楽しみながら歩く。残り1キロあたりから登りになるが、お寺まで車道が続く。境内入り口から本堂にいた…

15 高勝寺三重塔(栃木県下都賀郡岩船町)

高勝寺三重塔(栃木県下都賀郡岩船町) 第1代家康、第2代秀忠、第3代家光、徳川将軍家も第4代となると影が薄い。 第4代将軍家綱は、将軍家を継承したときわずか数え11歳。叔父保科正之や大老酒井忠勝、老中松平信綱、阿部忠秋らの補佐により、由比正…

小休止(1) 岩手と山形の四塔を巡る

岩手と山形の四塔を巡る JR東日本では、大人の休日倶楽部会員向けに12,000円で乗り放題の会員パスを売り出している。 会員パスは、JR東日本全線に加えて、函館、金沢、福井まで、新幹線も特急も、3日間自由に乗り降りできる。普通車指定席も6回…

14 安楽寺三重塔(埼玉県比企郡吉見町)

安楽寺三重塔(埼玉県比企郡吉見町) 安楽寺(吉見観音)は、天平年間(729年〜749年)に行基によって開創されたと伝えられ、坂上田村麻呂が奥州征伐の際、この寺に戦勝祈願したと云う。 また、天慶3年(940年)、平将門の乱の折、調伏を命ぜられ、百院百壇…

13 安久津八幡神社三重塔(山形県東置賜郡高畠町)

安久津八幡神社三重塔(山形県東置賜郡高畠町) 貞観2年(860年)、慈覚大師が安久津の豪族安久津盤三郎の協力で阿弥陀堂を建立、寺名を金蔵院とした。永承6年(1051年)、源八幡太郎義家が安倍一族討伐の命を受け、金蔵院で戦勝祈願を行い、大勝利を収め…

12 慈恩寺三重塔(山形県寒河江市)

慈恩寺三重塔(山形県寒河江市) 愛し合う2人 幸せの空 隣どおし あなたとあたし さくらんぼ 手帳開くと もう 2年たつなぁって やっぱ実感するね なんだか照れたりするね そういや ヒドイ コトもされたし ヒドイ コトも言ったし 中実がいっぱいつまった 甘…

11 普門寺三重塔(岩手県陸前高田市)

普門寺三重塔(岩手県陸前高田市) 普門寺は、鎌倉時代からの長い歴史をもつ南三陸を代表する名刹である。 開祖が宋から携えてきたといわれる宝物や、江戸時代後期に建立された三重塔や大仏、県の天然記念物に指定されているサルスベリの大木などがあり、訪…

10 福泉寺五重塔(岩手県遠野市)

福泉寺五重塔(岩手県遠野市) 福泉寺は、大正元年(1912年)8月に開かれた新しい寺である。五重塔はさらに新しく、平成2年(1990年)6月に完成した現代の塔である。 明治維新の廃仏毀釈により、早池峰山妙泉寺が、早池峰神社に改宗されてしまった。附馬…

9 向上寺三重塔(広島県尾道市)

向上寺三重塔(広島県尾道市) 広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ瀬戸内しまなみ街道が、尾道から因島を経て生口(いくち)島へと陸路でつないでいる。しかし、お奨めは海路である。生口島には尾道や三原からフェリーが出ている。今回は、三原港から。三原港…

8 天寧寺三重塔(広島県尾道市)

天寧寺三重塔(広島県尾道市) 尾道は、「文学の街」、「映画の街」、「坂の街」に加え、「福の街」としても、知られつつある。流浪の画家 園山春二氏が尾道に「招き猫美術館」を建て、町中の神社仏閣や民家、小路、植え込みに「福石猫」をその数も八八八匹…

7 西国寺三重塔(広島県尾道市)

西国寺三重塔(広島県尾道市) 「あれも、本ばよう読みよるで、どこかきまったりゃ、学校さあげてやりたか。」 「明日、もう一日売れたりゃ、ここへ坐ってもええが・・・・・・」 「ここはええところじゃ、駅へ降りた時から、気持ちが、ほんまによかった。こ…

6 大法寺三重塔(長野県小県郡青木村)

大法寺三重塔(長野県小県郡青木村) 上田市街を抜けて青木村に入ると、「美人多し、脇見注意」の看板とともに、「義民の里 青木村」の大きな看板が立っている。 青木村は、江戸時代には上田藩の浦野組に属し、地域内には、松本と上田を結ぶ脇街道が通ってお…

5 安楽寺三重塔(長野県上田市)

安楽寺三重塔(長野県上田市) 中国に現存する木造塔は、山西省の大同から百キロ南にある応県の木塔、正式には、仏宮寺釈迦塔といわれる八角五重塔が一基だけである。瓦に似た塼(せん)を用いた塔は数多く残っており、塼塔でも八角形のものがかなりの数見ら…

4 前山寺三重塔(長野県上田市)

前山寺三重塔(長野県上田市) 上田駅から上田鉄道別所線に乗り換えると、丸窓のあるこれぞローカル線といった趣のある電車がある。上田駅からしばらくは上田市街地を走る。市街地を外れると塩田平と呼ばれる田園地帯を抜けて別所温泉へと進む。塩田平一体は…

3 信濃国分寺三重塔(長野県上田市)

信濃国分寺三重塔(長野県上田市) 「信濃」は、もともと「科野」と書かれていた。これは、シナノキ(科の木)がこの地方に多かったことによるものであろう、といわれている。 信濃国の国府と国分寺は、上田に置かれ、国府については、その後、松本に遷され…

2 羽黒山五重塔(山形県鶴岡市)

羽黒山五重塔(山形県鶴岡市) 羽黒山は、山形県庄内地方に広がる月山、湯殿山と合わせ、出羽三山と呼ばれ、信仰の山である。蘇我入鹿によって弑逆された崇峻天皇の皇子、蜂子皇子が難を逃れて出羽の国に入り、羽黒山に登り、苦行の末、羽黒山を開いたといわ…

1 善宝寺五重塔(山形県鶴岡市)

善宝寺五重塔(山形県鶴岡市) 鶴岡駅からJR羽越線に乗り、新潟より一つ目の駅が羽前大山駅である。大山駅から歩いて約1時間、こんもりとした森の中に、善宝寺はある。 鶴岡出身の作家藤沢周平の原風景を訪ねる旅では、「龍を見た男」で龍が出たという貝喰…

平成の百塔参り

備中国分寺五重塔 永和3年(1083年)4月17日、富士山が大噴火した。富士山噴火による鳴響が京都でも聞こえたという。この年10月、白河天皇が京都白河の地に建設を進めていた法勝寺に八角九重塔が完成した。八角九重塔の初重には裳階(もこし)がつ…