2011-01-01から1年間の記事一覧

59 海住山寺五重塔(京都府木津川市)

海住山寺五重塔(京都府木津川市) 海住山寺は、加茂盆地の北、瓶原を見下ろす山塊の中腹にあり、人家を離れると、喘ぎ登るような急坂となり、JR加茂駅より3.5kmではあるが、徒歩で50分を要した。 海住山寺は、天平7年(735)、聖武天皇の勅願により…

58 浄瑠璃寺三重塔(京都府木津川市)

浄瑠璃寺三重塔(京都府木津川市) 「最初、僕たちはその何んの構えもない小さな門を寺の門だとは気づかずに危く其処を通りこしそうになった。その途端、その門の奥のほうの、一本の花ざかりの緋桃の木のうえに、突然なんだかはっとするようなもの、――ふいと…

57 岩船寺三重塔(京都府木津川市)

岩船寺三重塔(京都府木津川市) 木津川市加茂町の南に位置する当尾(とうの)地区には、鎌倉時代から室町時代にかけて彫られた石仏が点在し、確認されているものだけでも約100体あり、当尾は、「石仏の里」といわれている。その多くは鎌倉時代の初め、東…

56 三室戸寺三重塔(京都府宇治市)

三室戸寺三重塔(京都府宇治市) 平安貴族にとって、宇治は別業(べつごう=別荘)の地であった。舟遊びや紅葉狩りなどの遊びの地であるとともに、藤原氏の墓地があるなど、魂の安らぐ宗教的な地であった。 多くの別業では、貴族たちが御堂(=持仏堂)にこ…

小休止(10) 宇治・木津川・奈良の6塔を巡る

小休止(10) 宇治・木津川・奈良の6塔を巡る いよいよ奈良、京都を巡る。 しかし、私の百塔には、法隆寺や薬師寺、室生寺、教王護国寺、醍醐寺などは入れていない。あまりに有名なこれらの寺や塔は、これまでに多くの人によって紹介されており、私には、こ…

55 総見寺三重塔(滋賀県近江八幡市)

総見寺三重塔(滋賀県近江八幡市) 総見寺(そうけんじ)は、滋賀県近江八幡市安土町安土城跡にある臨済宗妙心寺派の寺院。山号は「遠景山」。天正年間、安土城築城に伴って、織田信長によって城郭内に、みずからの菩提寺として建立された寺。 現在放映中のN…

54 園城寺三重塔(滋賀県大津市)

園城寺(三井寺)三重塔(滋賀県大津市) 古池や 蛙飛びこむ 水の音 芭蕉 大津市の義仲寺境内、巴塚の後ろ側にある。 元禄2年(1689年)3月から9月まで、6ヵ月に及ぶ奥羽・北陸の長旅「奥の細道の旅」を終えた芭蕉は、故郷伊賀上野に帰ったのである…

53 常楽寺三重塔(滋賀県湖南市)

常楽寺三重塔(滋賀県湖南市) 甲賀郡石部町は、甲西町と2004年10月1日に合併し、湖南市となった。 石部町は、東海道五十三次の51番目の宿場町として繁栄したまちであり、京都を出て1日の行程にあり、「京立ち石部泊り」と言われた。 石部宿には、天保年間…

52 開化寺三重塔(三重県伊賀市)

開化寺三重塔(三重県伊賀市) 古くから忍者の里として知られる伊賀は、俳聖・松尾芭蕉の生誕地でもあり、日本有数の高さを誇る内堀の石垣をもつ伊賀上野城など、歴史深い街として有名である。またこの地には、酒蔵が数多く地酒も豊富で、名産の伊賀牛を肴に…

小休止(9) 伊賀1塔・近江3塔を巡る

小休止(9) 伊賀1塔・近江3塔を巡る 今回は、前回行くことのできなかった安土の総見寺と残りの近江の塔2塔と伊賀上野の1塔を巡ることにした。 JRの繁忙期が目前に迫り、梅雨の晴れ間をねらっていたが、中日が曇り時々雨の予報だったため、思い切って…

51 長命寺三重塔(滋賀県近江八幡市)

長命寺三重塔(滋賀県近江八幡市) 大正6年6月、第三高等学校(現京都大学)クルーは、学年末(当時7月卒業)の慣例によって琵琶湖周航に出ていた。大津の三保ケ崎を漕ぎ出て、1日目は、雄松(志賀町近江舞子)に泊まり、2日目は、今津の湖岸の宿で、疲…

50 徳源院三重塔(滋賀県米原市)

徳源院三重塔(滋賀県米原市) 吉川英治が、南北朝時代を描いた晩年の大作「私本太平記」。 天皇に背いた大悪人とされた足利尊氏(高氏)、南朝の大忠臣として美化されていた楠木正成など、戦前においては、一種のタブーであった日本の南北朝時代を、尊氏を…

49 金剛輪寺三重塔(滋賀県愛知郡愛荘町)

金剛輪寺三重塔(滋賀県愛知郡(えちぐん)愛荘町) 西明寺から「湖東三山自然歩道」を歩く。西明寺からしばらくは山道を楽しむことができるが、自然歩道といっても、その3分の2は舗装された道を歩く。 40分ほど歩いて、大型バスが十分すれ違いのできる…

48 西明寺三重塔(滋賀県犬上郡甲良町)

西明寺三重塔(滋賀県犬上郡甲良町) 伊吹山地は、滋賀県と岐阜県の県境に、南北に連なっている高さ1,000〜1,300m余りの山なみである。伊吹山はその南端に位置し、その標高は1,377.4m、滋賀県の最高峰である。 白山から続く奥美濃の山並みを通って分布する北…

小休止(8) 近江の四つの塔を巡る

小休止(8) 近江の四つの塔を巡る この古塔を巡る旅も3年を過ぎ、東日本にある塔は、すべて巡り終わった。これからは西日本に入る。 歴史の古い滋賀から岡山には、塔は多く、その巡り方は難しい。今回は、とりあえず滋賀県にある7塔のうち5塔を巡ること…

47 池上本門寺五重塔(東京都大田区)

池上本門寺五重塔(東京都大田区) 日蓮宗のお寺は、五重塔が好きである。 身延山久遠寺をはじめ、池上本門寺、中山法華経寺、龍口寺などなど、日蓮宗の多くの寺院に、五重塔が建てられている。 仏塔とは、本来釈尊を礼拝尊崇するためのいわば本尊。仏塔=五…

46 法華経寺五重塔(千葉県市川市)

法華経寺五重塔(千葉県市川市) 市川市は、歴史と文化の匂い立つ街である。 市川市は古くより栄え、律令時代における下総国の国府や国分寺。古代では真間の手児奈という絶世の美女がいたという伝説がある。戦国時代には後北条氏と里見氏が房総半島の覇権を…

45 龍口寺五重塔(神奈川県藤沢市)

龍口寺五重塔(神奈川県藤沢市) 文永元年(1260年)7月16日、日蓮が、時頼に『立正安国論』を提出してから40日後、念仏者によって草庵が焼き討ちされた。日蓮は、無事、下総国に避難したが、焼き討ちの背後には、北条重時や北条長時などの幕府御家人も…

44 興正寺五重塔(愛知県名古屋市)

興正寺五重塔(愛知県名古屋市) ここ八事山東海の 大都名古屋の東に 中京の名を負ひもちて 城と守る我が学の舎 と、2009年8月、甲子園に響いた優勝校中京大中京高校の校歌に歌われる八事(やごと)山は、興正寺の山号「八事山」に因む。 JR名古屋駅…

43 甚目寺三重塔(愛知県あま市)

甚目寺三重塔(愛知県あま市) 甚目寺(じもくじ)は、都内最古の寺の浅草寺(せんそうじ)とよく似た縁起を持つ寺である。 『一遍聖絵』に、甚目寺の縁起が記され、それによれば、甚目寺は、推古天皇の時代に尾張国の甚目龍麻呂が海の底から観音の紫磨黄金…

42 飛騨国分寺三重塔(岐阜県高山市)

飛騨国分寺三重塔(岐阜県高山市) 天平13年(741年)に、国分寺建立の詔が出され、各国に国分寺、国分尼寺が建立された。しかし、律令体制が弛み、官による財政支援がなくなると、国分寺・国分尼寺の多くは廃れてしまった。その中で、中世以後も、当初の…

小休止(7)飛騨高山1塔・名古屋2塔を巡る

小休止(7)飛騨高山1塔・名古屋2塔を巡る 日本列島全体が強い寒波に覆われ、全国各地で大雪が降る中、最も雪深い「ほくほく線」を利用して飛騨高山を訪れ、高山から名古屋へと回り、名古屋で2塔巡ることにした。 これまでのように、会員パスを利用。会員…