41 榛名神社三重塔(群馬県高崎市)

榛名神社三重塔(群馬県高崎市
 榛名神社が参詣客で大混雑しているというので、出かけてみた。
 JR高崎駅西口より、9時30分発の本郷経由榛名湖行きの群馬バスに乗車しようとしたら、バス停は、すでに20〜30人ぐらい並んでいた。しかし、高崎経済大学前に着くと、ほとんどの乗客は下車し、残った乗客は7〜8人であった。途中のバス停でさらに2、3人おり、榛名神社で降りたのは、私と30代、40代の女性二人そして最後部の座席で乗車中ずっとにぎやかにおしゃべりをしていた二十歳前後の女性二人だった。
 風水の李家幽竹氏が、「圧倒的なパワーを持つ神社」として、最高の★印を付けたことから、巨岩奇岩に囲まれた1400年の歴史を誇る関東屈指のパワースポットとして、ツアーに組み込まれ、若者からお年寄りまで多くの参詣客が訪れている。この秋には、「観光客に荒らされるパワースポット・榛名神社」というタイトルで、 身勝手な観光客が押し寄せ地元の人が迷惑をしているという映像がニュースで流された。
 私が行ったのは、12月21日。さすがに、年の瀬ということもあってか、自家用車や観光バスも少なく、榛名神社本来の静けさを取り戻していた。
 榛名神社は、延長5年(927年)に完成した「延喜式神名帳」に上野国十二社の群馬郡小社として位置づけられ、この時すでに、「式内社」といわれるほどの神社に成長していたことが伺える古社である。
 随神門を通り抜け、階段を登り、ふと上を見ると三重塔が建っている。神仏混淆の時代の名残である。群馬県内にはこのほか五重塔、三重塔はなく、群馬県唯一の塔である。
 当初の三重塔は慶長5年(1600年)の建立。荒廃が激しく江戸時代末に改築され、明治2年(1869)に竣工した。銅板瓦葺、高さ 16m。内部は、来迎柱があるが仏像は安置されていない。神宝殿と呼ばれ、天之御中主神をはじめとする五柱の天神を祀っている。
 本殿は、背後に聳える「御姿(みすがた)岩」にご神体をお祀りし、接続して権現造の社殿が建てられている。本殿を飲み込むように建つこの岩は、神様自身のお姿であるともいわれており、もっとも強い「気」を持つ場所であり、えもいわれぬパワーを感じさせる。
 榛名神社は、「御姿岩」以外にも、神社一体には巨木や巨岩が数多く残っており、独特の雰囲気と力強いパワーが伝わってくる。巨岩奇岩に囲まれながらゆっくりと参道を歩き、神秘の力にゆっくりと身体をなじませると、まるで自分が自然の一部になったかのような「おだやかな気」に包まれる。
 江戸時代には関東一円の村々から、五穀豊穣を祈る人々が『講』を組織して、参拝に訪れた。榛名神社参道には、かつて榛名講の参拝者が泊まった宿坊が90軒近くあったというが、今では日帰り参拝が一般化し、その数も15軒ほどになってしまっている。それぞれ食堂や土産物店に姿を変え、訪れる人々を迎えている。さらに近年、地元産のそば粉を使い、神社の御神水で打った手打ちそば『門前そば』を復活させた。これがまた、提供する食堂や宿坊それぞれの工夫があり、さまざまな味わいを楽しむことができる。